招待審査員賞（手塚由比）
透明な再生ビニールを使用したクッションの中に多様な廃材が形を変えて封入されている姿が魅力的だ。廃材の種類も色々あるところがいいのだが、何よりもビニールのクッションも一つ一つが微妙に違っているところがいい。同じ丸でも傾きや大きさや丸み具合が異なっている。そしてその中に封入された廃材も入り方が様々で、未知の生き物のようにも見える。廃材の存在を美しく見せ、かつ座って見たいと思わせる秀逸な展示だと思う。

選評（渡辺太郎）
このプロジェクトは昨今SDGsで謳われている端的に言えば、継続可能な地球の未来のために限りある資源の再生へのアクション。ということになるのだが、この作品の素晴らしいのはその大義を難しく専門的な言葉でなく、高度なデザインの技によって可視化し社会に発信したことであろう。誰もがこのアクションとプロセスを直感でメッセージとして感じ取ることの出来る卓越したインスタレーション的な展示とグラフィック。そこからもっと知りたいと思う気持ちにはQRコードを使って深度の深い情報に繋げていけるシステム。そのプレゼンテーションは緻密で一部の隙も無く美しく説得力を持って人々を魅了する。協賛企業との連携、これを発端としたコラボレーションのさらなる展開が非常に楽しみである。