中央区立郷土資料館

株式会社丹青社 : 森北沙恵子

2023年(第57回)
作品名中央区立郷土資料館
作品代表者森北沙恵子
作品代表者所属株式会社丹青社
所在地東京都
竣工年2022
ディレクション 株式会社丹青社 加藤剛
デザイン 株式会社丹青社 石河孝浩
デザイン 株式会社丹青社 森北沙恵子
プロデュース 株式会社丹青社 田沼明
プロデュース 株式会社丹青社 中尾友莉恵
プロデュース 株式会社丹青社 三宅航平
プランニング 株式会社丹青研究所 西園記代子
グラフィックデザイン ひとつめデザイン 大場智博
イラスト 株式会社リトルクリエイティブセンター 臼井南風
施工 株式会社丹青社
クライアント 中央区
撮影 栗原平
撮影 株式会社ピップス
受賞コメントこの度は大変栄誉ある賞をいただきまして誠にありがとうございます。図書館施設内という特性を活かして、「本を読む」という行為をそのまま展示体験に持ち込み、本棚を模した壁面に展開するグラフィックや実物資料、インタラクティブに楽しめるデジタルコンテンツの「配架」による空間を計画しました。「本」をかたどる棒状のパーツを文字や記号に変化させ、サインとしても展開し、館全体で統一感のあるデザインを目指しました。デザインのこだわりはもちろん、街歩きや関連書籍の読み込みなど徹底的なリサーチをするなど、関係者のみなさまとチーム一丸となって、プロジェクトに愛着を持って向き合ったからこそ、受賞につながったと思っております。(森北沙恵子)
選評(竹内誠)
自治体運営の郷土資料館というと、石器時代遺跡からの出土品や農機具などを展示している様子を思い浮かべるが、本作品の中央区立郷土資料館はそんな雰囲気はほとんどない。柔らかく流れるタッチのイラストやポップなカラー使いは、郷土資料館の固定概念を払拭してくれる。
図書館と融合した資料館ということで、本が並ぶ本棚をイメージしたという壁面がこの空間の一貫したコンセプトを表現している。グリッドを構成するパーツがラバーマグネットになっていて、適宜情報を貼り替えることができるという点も評価したいが、そのパーツによるエレメントがデジタルサイネージやプロジェクターのグラフィック、そしてロゴタイプまで徹底して使われている様は、美しくもあり機能的でもある。横長の連続するデジタルサイネージから流れるように移動する長い絵巻物、床に描かれた古地図。おそらくは膨大な資料から厳選された資料が緻密に編集され、決して資料館としては大きくないスペースそのものが、歴史に触れてもらうためのメッセージとして来場者に発信されている。
近年、中央区に引っ越してくる住民が増えていると聞く。街の歴史に触れられるスポットとして、大人にも子供にも取っ付きやすい雰囲気をうまく出している一方で、図書館の併設で歴史資料をより深掘り、検索できる関係性もできているようだ。利用者が再訪するたびに新たな発見できるという運営企画側の工夫も、優れたデザインとして評価したい。