招待審査員賞（太刀川英輔）
縁あって石川県立図書館の隣に移転予定の大学で客員教授をしており、この図書館は以前からよく知っていた。まず入って驚くのは、吹き抜けに同心円に広がる書架の美しさだ。そこに、この魅力的な情報設計のサインがある。特徴的な図書館建築のプログラムを素直に受け止め、その体験を高めるサインの仕事に、燻銀のデザイン力を垣間見た。図書館での知的体験への本質的な提案として、きっとこのサインは時間を超えて永く残るだろう。

選評（竹内誠）
石川県立図書館の各層が階段上に一望できる空間はその規模と円形のダイナミックな構成で、強烈なインパクトを与えている。特徴的なのは、サインが空間の中に浮かび上がり、「本を探す体験」を促しているところだ。図書館自身が大きな「本」であり、サインが「目次」として機能を果たし、たどり着いた先に読みたい場所（本）に辿り着く。私たちは、本の中に入ったような体験をし、サインは巨大な空間の中で、風景として存在しているのである。