屋外広告物を活用した先斗町らしい景観づくり─地域の関係者と協働した継続的な取り組みに対して

先斗町まちづくり協議会 : 副会長・事務局長 神戸啓

2023年(第57回)
屋外広告物を活用した先斗町らしい景観づくり─地域の関係者と協働した継続的な取り組みに対して
作品名屋外広告物を活用した先斗町らしい景観づくり─地域の関係者と協働した継続的な取り組みに対して
作品代表者副会長・事務局長 神戸啓
作品代表者所属先斗町まちづくり協議会
受賞コメント先斗町まちづくり協議会は、2009(平成21)年から、先斗町での町並み景観の維持保全・再生を目的に、まちづくりの取り組みを行っております。京都市では、2007(平成19)年から京都市新景観政策という規制を中心とした都市景観整備を着手、代表的なものとして屋外広告物規制というものがあります。先斗町でも、当時は突き出し看板・置き看板が数多く設置され、未申請も含めますと98%の屋外広告物が条例違反でした。そこで『先斗町町式目』という自主規制の中で、京都市条例に即しつつも独自の看板規制を定め、350以上ある店舗に看板の自主改善をお願いし、ほぼ改善されるにいたりました。その後、先斗町の町並みを残していくべく、京都市と先斗町町並み調査を実施し、2015(平成27)年には美観地区(一般地区)から界わい景観整備地区へと景観規制地区をランクアップ、さらに2018(平成30)年には、自主的規制だった看板規制を京都市と協議し「先斗町屋外広告物特別規制地区」に指定変更していただきました。こうして先斗町の江戸期からの町並み景観を最低限維持することができるようになりました。
しかしながら通り上空には電線が網のように張り巡らされており、京都市・関西電力に先斗町通無電柱化工事に着手していただき2021(令和3)年10月に完成。おりしも夜間工事が続く頃コロナ禍となり飲食店の時短営業要請の結果、通りに人が消え、看板も消灯され暗黒のまちとなってしまいました。そこでクラウドファンディングのようなやり方で、多くの方の寄贈による京行灯を真っ暗な通りに並べ、安全なまちを保とうと進めてまいりました。そのことで夜間景観の重要性にも気付き、昨今では京都府・京都市とも連携し、鴨川ライトアッププロジェクト(現鴨川魅力向上プロジェクト)として、鴨川の景観形成に向けた取り組みを進めております。
先斗町では、景観法・歴史まちづくり法施行後の「景観まちづくり」の世界で、できうる限りの町並み保全・まちづくりを進めてきました。京都という歴史都市・観光都市にあって、どうしても保守的なまちづくり・町並み保全が主流となる中、規制ではなくまち・都市の空間性や魅力を大切にする『空間まちづくり』の観点から未来のまちづくりの先進実証事例として、未来へ切り込んでいく新たな取り組みに挑戦しております。

先斗町まちづくり協議会 副会長・事務局長 神戸啓
受賞理由
花街としてられる先斗町の景観は時代の流れで茶屋が激減し、多様な飲食店が増えたことで路上の看板、広告物が氾濫。先斗町の魅力が失われていくことの危機感を抱いた地元有志を中心とした活動により2011年に「先斗町まちづくり協議会」が発足した。「先斗町 町式目」や京都市による景観計画の策定などを推進し、自主的に煩雑な看板の撤去や改修を進めてきた。また京都市、関西電力の支援のもと、先斗町全長490mの無電柱化工事に伴い、舗装のみならず、地上機器類を先斗町らしい設えで整備し「先斗町らしさ」を創り上げた。地域住民のたゆまぬ活動の成果として、2022年度の都市景観大賞優秀賞を受賞した。街の景観を守り、新たな先斗町の屋外サインを含めた景観的価値を築いた功績を評価し、持続的な活動を期待する。